Sonas blog

東大発IoTスタートアップ・ソナスのブログです。会社紹介や創業者・社員インタビューなどを通してソナスがどんな会社かをお伝えします。

無線であらゆるものをセンシング・計測できるプラットフォームを目指して~ソナスの無線計測事業の現在地とこれから~

ソナスは、現在社内の事業を大きく「無線計測事業」「無線事業」「DX」の3つに分けて推進しています。

今回は、その中でも現在主力製品となっている「無線振動計測システム」を扱う「無線計測事業」について詳しくご紹介します。

この事業名、時々誤解を生むのが、無線計測するのではなく無線計測するシステム、というところ。 無線計測事業の中心人物・神野へのインタビューで、そんな誤解が生じない事業の詳細説明や最終的な目標、そこに向かう上で今考えていることなどを聞きました。

f:id:sonas_inc:20201211151348j:plain

UNISONetの特徴を活かし、幅広い業界で使われるシステムになるよう製品ラインナップを拡充中

-まず、無線計測事業の事業内容を教えてください。

はい。この事業部では、ソナスのコア技術である無線規格UNISONetの無線モジュールと既製のセンサを組み合わせたセンサデバイス、それに付随して設定や計測状況を確認するためのWindowsソフト、遠隔からモニタリングするためのクラウドまでを含めた無線計測システムを扱っていて、戦略の立案から製品企画や要件定義、販売、設置、アフターサポートなど開発以外の全てを5名のメンバーで行っています。

f:id:sonas_inc:20201209162439p:plain
無線計測システム構成図

-UNISONetとセンサを組み合わせたデバイスということですが、具体的にはどんな製品でどのように使われているのでしょうか?

今主力となっているのが加速度センサを組み合わせた振動計測システムです。対応する加速度センサの種類が用途によって複数あるんですが、建物の常時微動のような微細な振動もセンシングできる高精度センサに対応したモデルがいちばんの売れ筋です。計測精度やUNISONetの通信性能の高さから、橋梁などの社会インフラやビルなどの建築物といった構造物の振動モニタリングに多数採用いただき、評価していただいていますね。お客様としては、ゼネコンや大学などの土木建築系研究機関が多いですが、最近は設計会社や建設コンサルタントなどといったお客様も増えてきています。

加速度センサのラインナップとしては他に、大きな振動も計測でき、鉄道や航空機などの重工系に向くモデルもありますが、今後更に対応センサを増やしていく予定です。具体的には、云わばハイエンドモデルである現在の構造モニタリング向けに対し、少し精度を落としつつ価格を抑えたエントリーモデルや、製造業での設備機器向けの、既存モデルより更に高周波振動計測に対応したモデルなどを予定しています。

また、機械の稼働監視向けに電流センサパトライトなどの光をセンシングする照度センサ、また歪センサにも対応しており、こうした加速度センサ以外のセンサについても今後ラインナップを増やしていく予定です。

-センサラインナップの拡充によって、現在メインの顧客となっている土木建築系の企業や機関から、他業界へと顧客の幅を広げていく戦略ということですね。

はい、その通りです。もともとソナスは、東大でCTOの鈴木が研究していたUNISONetを事業化するにあたり、最初のアプリケーションとして橋梁の構造モニタリングに取り組んできました。UNISONetの安定性やロスレスな信頼性、時刻同期機能などの特徴が構造モニタリングの要件に合致していたためです。それ以来、着実にこの分野で実績を積み上げてきていますが、UNISONetは構造モニタリングに限らず様々な領域で活用できる無線ですし、スタートアップとしては急速な成長も求められますから、ラインナップを拡充してターゲットとする業界を広げているところです。

f:id:sonas_inc:20201211153704p:plain

「無線計測」という新たなカテゴリを確立し、デファクトスタンダードになりたい

-ターゲットを広げて、様々なセンシングができるシステムにするという先には、事業としてどういう目標を描いているのでしょうか。

最終的にはソナスのシステムを無線計測のデファクトスタンダードにしたいと思っています。自社ブランドとしてのセンサデバイスの提供を続けながらも、それとは別に、あらゆるメーカーのモニタリングシステムとしてうちの技術が組み込まれているとか、各種機器に内蔵されて様々なものを計測している状態、そしてそれによって日本の製造業や人手不足の業界の課題解決に貢献できるというところを目指しています。10年後くらいにはそうなっていたいと思っています。

-その目標を100とすると、現在はどれくらいのところに来ていると思いますか?

まだ10くらいですね。 昨期は大型案件が増え、1件あたりの単価も上がり、着実に事業が伸びていることを実感できましたし、定性的にも、おかげさまで土木建築業界の中での認知が高まってきたことで既存のお客様の紹介で新規案件を獲得できることが増えてきたり、導入いただいたお客様からアフターサービスなど無線以外のところへの評価をいただいたりと手応えは感じています。

ただその一方で、次のフェーズに行くには販売代理店やパートナー企業を増やしての拡販体制の構築や、安定して大量の発注にも対応できる量産体制の構築に課題があると感じているので、今はそうした体制構築に注力しています。そこを乗り越えたら、最終目標に一歩近づけるかなと思いますね。それでも目標が大きいのでまだまだではありますが。 あとは、製品の企画から開発・製造・販売・設置やアフターサポートまでの全てを社内でやっていて事業部メンバーは手一杯なので人手を増やしたいですね。

-事業を統括するマネージャーも募集していますよね。

そうですね。現状、指数関数的に事業を成長させた経験のあるメンバーがいないというのがあります。 そもそも、さっきから無線計測のデファクトスタンダードを目指すと言っていますが、様々な業界を横断して「無線計測」で括るというカテゴリ自体が存在していませんし、それを確立しながらシェアを取っていくのは新しい挑戦だと思っています。 そんな中で、メンバーそれぞれ無線だったり建設系だったり製造業系だったりとバックグラウンドに裏打ちされた強みを持っていますが、ビジネスとして一つの事業をマネジメントした経験者はいないので、そうした知見や経験を持ち、リーダーシップを発揮してくれる人材を迎えて成長を加速させたいと考えています。

               □ □ □

次回は、主力の無線振動計測システムの用途として実績の多い構造モニタリングと、最近事例や引き合いが増えてきている製造業での活用方法について深掘りする予定です。