Sonas blog

東大発IoTスタートアップ・ソナスのブログです。会社紹介や創業者・社員インタビューなどを通してソナスがどんな会社かをお伝えします。

UNISONet本格普及に向けての中心を担う~無線事業部が描く戦略とは~

ソナス創業当初から計画していた念願のUNISONet無線モジュールが2月にサンプル提供開始となりました。

※無線モジュールとは…無線通信に必要な諸機能をモジュール化した電子部品。無線モジュールを機器に組み込めば、コマンド操作によって容易に無線通信を実現できる。 無線機器開発をする際に無線の回路やソフトウェアを自社で設計しなくてよくなるほか、技適などの認証作業が不要になるため開発の工数を削減できる。

そこで、今回は無線モジュールの担当部門である無線事業部を直接担当しているCEO大原さんにインタビューを実施。事業部の役割や開発の苦労、今後の戦略などを伺いました。

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汎用化とコマンド整理に苦労したモジュール開発
今後は機能を増やし、ユースケースを作っていきたい

-まず最初に、無線事業部がソナスの中で果たす役割について教えていただけますか。

無線事業部は、UNISONet自体でビジネスをし、無線規格として普及させる役割を担っています。ソナスは「UNISONetをIoT無線のグローバルスタンダードにする」という目標を掲げていますから、これを実現する上で非常に重要な役割といえます。

業務としては、無線モジュールの要件定義からマーケティング・販売まで開発以外の全てを担当しています。今は4月の量産開始に向けた準備やドキュメント類の整備、ユーザーからのフィードバックの反映や、協業いただけるパートナー企業との交渉などに注力しています。

-その無線モジュールですが、開発中は社内で直接関わりはない立場から見ても大変そうでした。その辺りのお話をお聞かせください。

無線モジュール化にあたっては、機能やコマンドの整理にとても時間がかかりました。 東大時代から構造物の振動モニタリングをアプリケーションとしてきた経緯から、これまでのUNISONetは計測向けの機能を詰め込んでいましたが、無線モジュールとなると様々な用途に対応できるよう汎用化しなければいけない。そのための整理が必要でした。また、それまでは自分たちが欲しいと思った機能を独自のコマンドで一つずつ実装してきたので、無線モジュールとしての役割とアプリケーションプロセッサとしての役割に分けてインターフェイスを切り、コマンドを整理し直すのもかなり大変でしたね。

手こずっていた時に、VPoEの森田さんががっつり入ってインターフェイスの切り分けやコマンドの整理をしてくれてからは軌道に乗りました。

-サンプル提供を開始して、現在のところの反応はどうですか。

上々の反応をいただいていますが、今は無線に詳しく技術力もある方が興味を持ってくださっている段階です。4月の量産開始時には、ゲートウェイクラウド、SIなどの機能も一体として提供し、PoC向けのシステムを簡単に組めるという体制にして、もっと導入の敷居を下げられるようにします。

他には、マーケティングの観点でも、ターゲットとなるユーザーにユースケースを踏まえてアピールしていかないといけないと思っています。今は売るにあたって「省電力」とか「時刻同期」といったUNISONetの特徴を謳うに留まっていますが、例えば工場の機器の位置管理に使えるとか、そういった「実際何に使えるの?」という質問に答えるレベルに落とし込んでいかないとと思っています。

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2.4GHzと920MHzの2パターンに加え、試作開発に使いやすい開発ボードやブレイクアウトボードも用意している。

技術をオープンにしてUNISONetエコシステムを作り、規格として育てていく

-中長期的な戦略はどう描いているのでしょうか?

新しい無線を広めていくには、クローズ戦略とオープン戦略の2つの戦略があります。前者は自分たちだけで技術を囲って価格も下げずに提供していく方法で、沖電気さんのSmartHopがこの方法を取っています。後者は、技術をある程度オープンにし、パートナー企業とアライアンスを組んで普及させていく方法です。LPWAのLoRaなどがこの方法を取っています。

一スタートアップであるソナスが単独で訴求するよりも、パートナー企業と協力していくことがより広く普及していくことにつながると思っているので、ある程度オープンな戦略を取る予定です。

-なるほど。パートナ―企業との交渉も始めているようですが、アライアンスの立ち上げはいつ頃の予定ですか?

UNISONetアライアンスについては5月頃の発足を予定しています。アライアンスでやりたいことは大きく2つあって、一つがニーズとシーズのマッチングです。センサメーカーのようなシーズ側とSIerのようなニーズ側が一同に会するアライアンス会議に各社が事例や技術を持ち寄り、それらをマッチングしてUNISONetエコシステムを作っていくというものです。これが機能するようになると、パートナー企業がアライアンスに参加する動機にもなります。

もう一つは、みんなでUNISONet自体をよりよい規格に育てていくことです。UNISONetの技術そのものの方向性について話し合ったり、うちからパートナーに対して開発のアップデートなどを知らせていく場を作っていきたいと思います。こうした場でパートナー企業を募り、3~4年後には海外に進出していきたいですね。

マーケティング、特にアライアンス活動はやりがいのある仕事になるはず

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-3~4年後に海外進出という他に、数字的な目標は何かありますか?

無線規格で日本国内で一定の存在感を出せるラインが年産10万台と考えています。今から3.5年の間にこの数字は達成したいですね。これからの3.5年がUNISONet単体でも使ってもらえるかを見極めていく時間になると思っています。

-その目標に向かっていく上で課題は何かありますか?

モジュールを市場に出したはいいですが、マーケティング面が課題ですね。そこを任せられる人を採用して強化していきたいと思っています。

お任せしたいのは、一つは単純に販売のためのマーケティング。オンラインとオフライン両面でお客様の目に留まるところにUNISONetを届けていく役割になります。BtoB商材、できればBtoBtoBという商流になるモジュール製品のマーケティング経験者にきてもらえると嬉しいですね。

もう一つはアライアンス活動です。これは上手くいけば世界的なアライアンスの責任者になるわけで、僕個人としてもやれるものならやりたいぐらいです(笑)。すごくやりがいがあって面白い仕事だと思います。

               □ □ □

無線のモジュールやアライアンスというなかなかイメージしにくい事業のせいか、マーケティング担当者の採用活動は苦戦しているとのこと。

サンプル提供を開始したばかりで量産開始を控えた今、BtoBマーケターとしてとてもやりがいのあるフェーズで働けるタイミングです。

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