Sonas blog

東大発IoTスタートアップ・ソナスのブログです。会社紹介や創業者・社員インタビューなどを通してソナスがどんな会社かをお伝えします。

【CTOインタビュー】強い使命感をもつプロの方々に支持されるよう、UNISONetを鍛えていきたい

こんにちは。広報担当の武田です。

今回は、ソナスのコア技術「UNISONet(ユニゾネット)」(※ 注1)の生みの親であるCTO 鈴木のインタビューをお届けします。いつもニコニコしておおらかな鈴木が内に秘めた思いを語っています。 ぜひ最後までご一読ください。

※注1:UNISONet(ユニゾネット)…ソナスが開発した画期的な無線通信の新規格。IoTに求められる「安定」「省電力」「高速」「双方向低遅延」「データロスレス」「時刻同期」「ネットワーク内多数収容」を同時に実現することが可能。詳細はこちら

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ソナス共同創業者/CTO 鈴木誠東京大学大学院新領域創成科学研究科博士後期課程修了。10年以上に渡り無線センサネットワークの研究に従事した後、ソナス株式会社を共同創業。

中学時代からコンピュータやものづくりが好きだった

―いつ頃から後の研究に繋がるようなプログラミングやものづくりに興味を持っていたんですか?

中学に入ったころにはコンピューターや電子工作に興味があり、中高は物理部で部長もやりました。

大学でも、やっぱりコンピューターが好きで、インターネット的なものと工作的なものが両方できる青山・森川研究室(現在の森川研究室)の門を叩き、センサノード(※注2)向けの仮想マシン(Virtual Machine)(※注3)について研究しました。当時も今も、センサノード向けの組み込みマイコンでソフトウェアを書き換えるのは難しいのですが、ソフトウェアでCPUが持つべき機能を作ることで、これを実現しようとしていました。 修士課程で他のテーマに移ったこともありましたが、この研究に戻り、博士課程3年の時に名誉ある賞をいただけたことは励みになりましたね。

※注2:センサノード…センサやマイコン、無線通信デバイス、バッテリなどを組み込んだデバイス。広範囲に分布するセンサノードが相互に接続し、センサで測定したデータを無線通信でやりとりする無線センサネットワークに用いられる。

※注3:仮想マシン(Virtual Machine)…CPUなどハードウェアの機能を模擬的に実現するソフトウェア

初めて「同時送信フラッディング」という転送方式を知ったときの感想は「本当に動くのか?!」

―UNISONetの核となる技術「同時送信フラッディング」(※注4)の論文に出会ったのはいつ頃ですか?

同時送信フラッディングについての論文が出てきたのは、博士課程を卒業してちょうど一年後、東大で助教として働いていた頃でした。初めは「これがほんとに動くのか」と思ったんですが、再現してみたら動いちゃって。実はそうすると僕が博士課程で頑張った時刻同期の技術はあまり役に立たなくなってしまうんですが(笑)、でもこれは面白いと思いました。

※注4:同時送信フラッディング…従来主流だった「ルーティング」を行わない全く新たな無線通信の転送方式。詳細はこちら

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同時送信フラッディングを用いたUNISONetの通信の仕組み

―同時送信フラッディングの話をしたときの周りの反応は?

学会などで話しても今ほどのインパクトはなかったと思いますし、「ゲテモノ系」と思われていたのではないでしょうか(笑)。今にして思えば、2011年~12年当時はまだIoTという言葉も流行っていなかったし、IoT向けネットワークについて分かっている人がとても少なかったですね。でも、マルチホップ(※注5)なのに、マルチホップ特有の「まどろっこしさ」なく動くこの仕組みは、僕の中では非常に衝撃で、これは世に広めなければならない、絶対広がるはずだ、と思ってました。

※注5:マルチホップ…バケツリレー式にデータを転送するネットワークの接続形態。詳細はこちら

ー同時送信フラッディングの研究を続ける中で大変だったことはありますか?

マルチホップの研究には長い歴史があり、「今更、大して変わらないだろう」という印象を持たれがちでした。

こういった予断と戦うために、色々な工夫をしました。例えば、実際の現場に設置して動かす事例を作りました。この取り組みで、同時送信が想定したよりもかなり強靭に動く、ということが分かりました。センサネットワークの実用化にあたって一番の課題は信頼性でしたから、これが分かったのは大きな成果&モチベーションとなりました。

これらの経験を通して自信を深めた一方で、このような取り組みを大学でやるのは、難しさもありました。ソリューション開発的になってしまうので、労力がものすごいかかる割に、大学のKPIである論文化がスムーズにいかない(笑)。もっとうまいやり方もあったと思いますが、どうやって進めたらいいかは日々悩んでいました。そんな中で研究室の後輩だった大原(ソナスCEO/共同創業者)と再会したんです。

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ドイツ・ドレスデンで行われた国際会議にて、UNISONetのシード技術についてのポスターをバックに

UNISONetを強く柔らかく鍛えるため、様々な開発が進行中

―そして、研究室の後輩である神野も加わって起業したわけですね。起業後も様々な山谷がある中で、何がモチベーションになっていますか?

各分野で「橋梁の安全性を評価したい」「工作機械の稼働率を上げたい」など、強い使命感を持つプロの方々に「UNISONetを使うことで、今までできなかったセンシングができた」と言ってもらうのが一番嬉しい瞬間ですね。

あとは、大学にいたら出会えなかったであろう多方面の優秀な人たちと、UNISONetを広めるということに集中できていることに喜びを感じます。自分では全く考えなかったアプローチでUNISONetが展開されていくのは、とても刺激的で楽しく、頼もしいです。

―UNISONetについては、これからどうしていきたいですか。

より多くの分野で使ってもらうため、ある程度規格や技術をオープンにして、ある程度の電子工作や無線の知識さえあれば直感的に使えるツールにしたいと考えています。これに向けて、UNISONetを簡易に使うためのモジュール化開発や、それらモジュールを管理・可視化するためのクラウドサービスの開発も進めています。また、LPWAなどの中では高速と言っても、まだスピードがネックとなることも多く、高速化にも取り組んでいます。UNISONetを強く柔らかく鍛えていきたいです。

f:id:sonas_inc:20200121161410j:plain ―ここまでUNISONetのお話をメインに伺ってきましたが、ソナスの会社としての強みは何だと思いますか?

一つ目は、働き方の点でいろんな人が働きやすいところですね。二つ目は、広いバックグラウンドを持つ優秀なエンジニアがいる点ソナスの業務は、無線、組み込み、ネットワーク、ウェブ、メカに至るまで、極めて幅広い技術が必要です。お客様の業界も理解しなければなりません。この人数でこのビジネスができているのは結構すごいことなのではと思います。

―これからどんな会社にしていきたいですか?

みんなが自分の仕事に誇りをもって働いている会社にしていきたいです。あとは、日々新しいものが生まれている会社がいいですね。例えばオフィスでも、新しい常設デモの展示を増やしたりしたいです。再訪されたお客様に「新しいの増えたね」と毎回言っていただけるような会社になったらいいなと思います。

―最後に、どんな人と働きたいですか?

ソナスでは、自分たちの無線通信規格を世界に広めるという、とてもチャレンジングなテーマに取り組んでいます。専門分野は問わず、基礎を疎かにせず、IoTでどんな未来を創れるかを語り合える人がいいですね。ぜひ一緒に技術開発を楽しみましょう

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